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墨書土器(今東遺跡出土)
平成7年に福祉センター建設に伴う発掘調査を実施した世羅町本郷の今東(いまひがし)遺跡から出土した。
今東遺跡からは9~10世紀の須恵器が出土しているが、包含層からの出土で遺構に伴う遺物がなかったことや、遺構の数も少なく、殆どが土壙のため遺跡そのものの時代は確定されていない。
墨書のある須恵器は、輪状の貼付高台を有した坏身片で、高台内部に墨書が確認できるが、文字については判明していない。やはり包含層から出土した。
奈良時代における世羅郡の郡衙については、諸説あり所在地が判明していないが、この墨書のある須恵器の出土は官衙的遺跡存在の可能性をうかがわせるもので、興味深い資料である。