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世羅町指定重要文化財(美術工芸品/考古資料)
大久保遺跡弥生土器
昭和55年(1980)6月16日指定
昭和22年(1947)に、東神崎艮(うしとら)神社の土砂の中(採土地)から3個の完品に近い弥生土器が発見されたもので、口縁部が一部欠けているほかは、ほぼ完全な形で出土した。
細い頸部(けいぶ)、たまご形の胴部といった形は弥生時代中期の特徴であり、また、櫛描文(くしがきもん)や列点文と呼ばれる模様が口縁部や胴部に施されているのもその時代の特徴のひとつであるとされている。櫛描文は瀬戸内から近畿地方で発生した模様と考えられており、これらのことから当時世羅郡は他地域との交易・交流があったことがうかがえる。
弥生時代の中期以降の土器は、町内はもとより県内でも数多く出土しているが、大久保遺跡から出土したものは「艮式」とも呼ばれ、弥生時代中期中頃の広島県の土器の基準とされている(『広島県史』原始・古代編所載)。
同類のものとしては、川尻の金井原や東上原の下谷、下川尻の比恵谷からも発見されている。